高校野球あれこれ 第248号

優勝経験ある四日市に上尾、郡山など4強入りも4校!
伝統校が軸の21世紀枠、狭き門を突破するのは?


 来春センバツ21世紀枠の地区推薦候補9校が決まった。1月30日の選考会で、2校が選出される。甲子園未経験が3校ある一方、夏の甲子園で優勝経験のある四日市(三重=東海)や、4強入りしたことがある上尾(埼玉=関東・東京)、郡山(奈良=近畿)、長崎西(九州)、若狭(福井=北信越)など、かつて甲子園を沸かせた伝統校が6校と、二極分化した。

伝統進学校の四日市は三重の「切り札」
 まずは甲子園経験校から紹介する。明治32(1899)年創立で、70年前の昭和30(1955)年の夏に甲子園優勝経験のある四日市は今秋、県で4強入りし、準決勝と3位決定戦で敗れて東海大会出場を逃した。「日本一の文武両道」を掲げるだけあって、野球部からも東大、京大や国立医学部に進む生徒もいる。センバツ1回、夏2回の甲子園出場があるが、最終出場が昭和42(1967)年で、半世紀以上のブランクがある。三重は過去、9回も地区推薦を得ながら補欠が2回とあと一歩に泣かされてきた。三重の「切り札」とも言える四日市にかかる期待は大きい。

上尾は原の東海大相模を破り、4強入りも
 かつて埼玉の高校球界を牽引した上尾は、春夏合わせて7回の甲子園経験がある。ハイライトは昭和50(1975)年の夏で、準々決勝で、元巨人監督の原辰徳氏がいた東海大相模(神奈川)を逆転で破り、ベスト4に進んだ。しかし浦和学院や春日部共栄、花咲徳栄などの強豪私学が台頭するようになってから甲子園出場が叶わず、昭和59(1984)年夏以降は、聖地から遠ざかっている。ただ公立としては上位の常連で、秋も準決勝で浦和学院に3-4の惜敗だった。商業科が併設され、資格試験の合格者も多い。勉強、部活に本気で取り組む生徒が集う伝統校だ。ロッテの中心選手だった山崎裕之氏、中日やロッテで活躍した仁村徹氏など、そうそうたるOBがいる。埼玉も全国に11ある「21世紀枠空白県」で、上尾は今回の候補で唯一、2度目の地区推薦もアピールポイントになる。

郡山は近畿の「公立枠」を守れるか
 混戦となった近畿は、文武両道で知られる郡山(タイトル写真)が選ばれた。最後の出場となった25年前の夏ごろまでは、天理、智弁学園の2強に対抗する一番手だったが、長く率いた森本達幸・元監督(2年前に88歳で他界)が退任してからは、苦戦が続いていた。近年は上位に顔を出すことも多くなり、昨夏、昨秋、今秋は県で4強。往時の輝きが戻りつつある。130年を超える歴史と伝統があり、甲子園には12回出て12勝。昭和46(1971)年夏には、PL学園(大阪)や銚子商(東関東・千葉)を破るなどして4強入りした。文武両道の実践モデル校として長く、全国から注目され、現在も多くの公立校のお手本となっている。近畿は第1回大会から今春まで必ず、公立校がセンバツに出ていて、一般枠での選出が困難な中、郡山が最後の砦となっている。奈良も空白県の一つである。

長崎西は九州大会8強で実績ナンバーワン
 毎年、有力校が多い九州で推薦されたのが長崎西で、こちらも戦後すぐの昭和26(1951)年センバツで4強まで進んだ。長崎中時代の大正6(1917)年の夏に初出場するなど、県下屈指の歴史と伝統を誇る。昨年度は東大4人、京大6人、九州大30人など、抜群の進学成績を誇り、現チームでも東大志望の選手がいる。秋は県で強豪を連破して準優勝。九州大会でも8強入りした。今チームの実績と戦力比較なら9校でトップだろう。最後の出場は44年前の夏で、NPB通算224勝の名古屋電気(現愛工大名電=愛知)・工藤公康投手に無安打無得点に抑えられた。今春の壱岐に続き、長崎から2年連続の選出なるか。

若狭は福井の高校球界をリードした名門
 北信越の推薦を受けた若狭は、敦賀と並び、かつては福井の高校球界をリードしていた。春夏合わせて10回の出場があり、計4勝している。最高成績は昭和44(1969)年夏のベスト4で、準決勝では優勝の松山商(北四国・愛媛)に敗れた。文科省からSSH(スーパーサイエンスハイスクール)の指定を受け、文武両道を実践している。最終出場は51年前のセンバツで、このチームは前年秋の明治神宮大会で優勝した。今秋は県大会で準優勝し北信越大会に進んだが、初戦で敗れた。福井の推薦を受けるのは3度目で、今回初めて地区推薦に至った。川藤幸三氏(元阪神)、浜中祥和氏(元中日ほか)ら、プロ野球選手も輩出している。

山口県鴻城は私学2校目の選出を狙う
 今回の9校で唯一、私立校として中国地区の推薦を得た山口県鴻城は、夏に3回の甲子園経験がある。昭和37(1962)年には、大分商(中九州)を破って、初勝利を挙げた。明治22(1889)年創立の伝統校であり、今秋は、一般枠選出濃厚の高川学園を破るなどして、中国大会出場。倉敷商(岡山)に初戦敗退を喫したが、終盤に盛り返す粘り強い戦いぶりで健闘した。甲子園でもおなじみの宇部鴻城と同じ学校法人傘下にある。NHKの朝の連ドラで沢口靖子の相手役を演じた川野太郎氏(早大出)は、卒業生である。私立校はこれまで土佐(高知)が選ばれただけで、2校目の快挙なるか、注目したい。

士別翔雲は名寄地区から初、そして史上最北から出場なるか
 ここからは甲子園未経験の3校を紹介する。北海道は環境に恵まれない困難克服のチームが推薦されることが多く、選ばれた士別翔雲もその例に漏れない。士別は過疎化が進む北海道北部の市で、冬季は気温が氷点下25度、積雪6メートルと想像を絶する過酷な環境下にある。それでもチームはこの3年、全道や夏の北北海道で8強以上に5回も進出している。今秋の全道も、準々決勝で白樺学園と0-1の接戦だった。選ばれれば、全道10地区で唯一、甲子園出場校のない名寄地区から初の快挙、また史上最北からの出場校となる。

地域貢献に注力する名取北は楽天・岸の母校
 東北からは、名取北(宮城)が推薦された。昭和54(1979)年創立の比較的新しい県立普通科高校で、OBの岸孝之投手(41)は、地元・楽天の主戦として絶大な人気を誇っている。東日本大震災以降、特に地域貢献に力を入れていて、一時は部員10人という困難な時期も乗り越え、今秋は初めて東北大会に進んだ。1回戦敗退に終わったが、甲子園常連の鶴岡東(山形)に1-3と善戦した。部員不足だけでなく、練習時間の制約もある中、「取り組みを変えれば、結果も変わる」という信念で、選手、指導者が一丸となってチーム力を強化している。

高知農は明徳を追い詰める大健闘
 四国の推薦は高知農で、秋に甲子園常連の明徳義塾を追い詰め、話題となった。明治23(1890)年創立の歴史ある農業高校で、卒業生は県の農林業を支えている。野球部は一旦、廃部となったが、半世紀以上のブランクを経て、26年前に復活した。慢性的な部員不足に悩まされ、今チームも2学年で21人(うち女子3人)で、選手は甲子園の「定員未満」となる。また実習授業の関係で、全員が揃っての練習も困難という中、明徳に延長10回サヨナラ負けの大健闘は、驚きとともに地元に感動をもたらした。

「空白県」は減少傾向、三重、埼玉、奈良はチャンス?
 ここまで9校のプロフィールをご紹介したが、今春は、空白だった神奈川と長崎から選ばれた。現在、空白は11府県で、今回、そこに該当するのは四日市、上尾、郡山の3校。四日市は県勢10回目の地区推薦で初の選出を。また上尾は唯一、2度目の地区推薦を受けての選出に期待する。逆に長崎西は、県勢2年連続の選出を狙う。21世紀枠は、都会のチームには縁遠い印象だったが今春、「強豪私学ひしめく神奈川で公立が勝つための取り組み」を繰り返し強調して横浜清陵が選出され、空白を解消したように、当日のプレゼンテーションが大きなウエイトを占めることは言うまでもない。

地区大会進出4校で勝利があるのは長崎西だけ
 その一方で、いくら魅力的な高校でも、センバツは年に2回しかない甲子園の全国大会であるから、ある程度の戦力が伴わないと好試合にならない。その点では、地区大会の戦いぶりは大きな目安になる。他県のチームとどのような試合をしたかは、それだけ客観的な裏付けとなるからだ。士別翔雲を除き、地区大会で勝利したのは長崎西だけで、地区大会に進んだのが名取北、若狭、山口県鴻城。特に名取北は投手陣の頑張りで、甲子園常連校相手に善戦した。また高知農は県大会で、全国屈指の強豪・明徳と互角に戦っている。

地域性や学校の特性にも微妙なバランスが存在する
 3校が選ばれていた時期は、東西から必ず1校ずつ、あと1校は東西を問わずに選出していたが、2校に減った前々回からは、「地域を問わない」としている。しかし実際は東西から1校ずつ選ばれていて、まずはこの構図が崩れるかに注目したい。また冒頭から「伝統校が多い」と強調しているが、いわゆる「名門進学校」がこの枠を独占したことはない。つまり少なくとも1校は、困難な環境を克服し、頑張るチームが選ばれている。この「地域性」、そして「名門進学校」か「困難克服校」か、という微妙なバランスも興味深い。

ここからの真剣な取り組みは将来につながる
 この枠は、野球部だけでなく学校そのものの評価でもあり、現時点では全校が同じスタートラインに立っていて、選出の可能性は等しくあると言える。多少の主観は入るが、前回の壱岐のような「鉄板候補」は存在しない。そして9校全てが、1月30日の選考会まで、甲子園に出るつもりで練習や学校生活と向き合うだろう。その真剣な取り組みは、たとえセンバツ出場が叶わなくても、必ず将来につながると確信している。

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